多くの方にご心配頂いていると思いますが、先月保護したBOBさんの体調は安定してきて、病院の先生の診察を受けながら体力作り、体作りをしつつ、無理をさせずに日々楽しめる様に生活を送ってもらっています。
いまだ心配な点がありますが、体重も増えているのが順調な回復の証です^^
優しく熱心に診察してくださる先生のご意見を尊重しつつ、おおらかな気持ちでお世話を続けてまいります。
BOB君に限らず、様々な犬種で一歳にも満たない犬たちが里親募集サイトに登場します。
繁殖引退犬なのか、年老いた純血種がまとめてセンターに持ち込まれたり、公園に放棄されることもあります。
東京都のセンターを見に行くと90%が純血種で、数少ないミックス犬の方が飼い主が迎えに来る傾向さえあるとか。
一般の人がさまざま理屈をつけて飼育放棄する犬、営利目的で利用され、お金にならなくなったら捨てられる犬、犬、犬...
保護される犬たちはそれぞれに様々な過去を持ちます。
どこで生まれ、どんな血筋で、誰に買われ、誰に虐待を受け、誰に捨てられたのか。
残念ながら、彼らが身の上を語るすべはありませんが、どんなケースも身勝手な人間の犠牲になったことだけは共通です。
この4頭のうち、二頭も酷い状態で保護され、命の危機を生き延びました
本来それぞれの価値にはなんら違いなく、愛され大切にされるべく生まれたはずの犬たちなのに...
先日も書きましたが、ADNFは単犬種レスキューを活動の軸に据えていますが、アフガンハウンドだけ助けたいのではなく、せめてアフガンハウンドくらい、アフガンハウンドの愛好家たちが力を合わせて助けてあげることができたら...と立ち上げた活動です。
アフガンハウンドは大型犬であるだけでなく、シルキーな長毛のコートに全身包まれた管理が容易ではない犬種です。
野生動物のような運動神経で飛ぶように走り、室内猫のようにデリケートでコケティッシュな様子を見せたかと思えば、山奥にひっそり暮らす仙人のような一面も持ち合わせます。
飼い主以外の人間には興味を示さないクールな子もいれば、とてもシャイな子、どんな人でもどんな犬にでも愛想のよい陽気な子もいます。
アフガンハウンドは三者三様 いえいえ 十犬十様の不思議な魅力を持つ犬です。
アフガンハウンドレスキューADNF代表の愛犬 本日8歳になりました
一度も挟みを入れることなく手塩にかけて育てた男の子
一週間でも適当に飼育したら、この風貌は決して手に入りません
ここ10~20年ほどですっかり減ってしまったゴールドブラックマスクのアフガンハウンド
お散歩中に <珍しい色のアフガンですね!> なんて言われて、ビックリしたことも。
私は子供の頃にアフガンハウンドとの生涯の恋に落ちました(もう、40年近く前^^)
当時、アフガンハウンドといったらほとんどがこのコートで 当に王道!
その他ブラック&ホワイト、ブラックタン、ホワイト、クリーム、ドミノが少しづついて、当時アメリカから輸入されたブリンドルのAM CHがたくさんの子を残して一気にブリンドルが増えました。
時は過ぎて、今はブラックマスクは珍しくなり、その上不人気だとか。
当時、アフガンハウンドのブリーダーは有名犬舎が5軒ほどあり、ペット用で20万円前後、ショータイプで30~50万円が主流でした。
当然初任給は今の半分ほどだった時代です。
情報も限られ、月間の犬雑誌やドッグショーを見学して犬種の勉強をし、好みの犬&ブリーダーを見つけて、出産予定の犬を予約購入するのが当たり前でした。
値段が高ければ問題がなくなる訳ではありませんが、少なくとも安売り処分する必要はさほどなかったのではないでしょうか。
先日、知り合いの友人と言うトリマーさんから電話を頂き、質問をうけたのが
<アフガンのパピーの女の子をペットショップで買って、外で繋いで飼っているお客様がいて心を痛めています。
この人に、なんと言ったら良いですか?>
どうして外で飼うのか知っていますか?とお聞きしたところ、番犬だからだそうです。
その子が来る前に飼っていた日本犬に飽きて、知り合いにあげてしまったお金持ちのおじさん。
ひと月後に有名ペットショップに注文して、お金持ちらしい犬という事で新たに購入した<番犬用のアフガン>だから、家の中に入れておいては意味がないのだそうです。
この飼い主に、私がどのようなアドバイスをすれば意味があるのでしょうか?
ひとまず、アフガンは室内飼いが当然の犬なので、それが出来ないで汚くなって手放す事を考えるようであればご連絡くださいとお返事しました。
今は相談者のトリマーさんの柔軟な説得で、雨の日や風が強い日には玄関に入れくれているそうです。
これからの暑い日にはクーラーがきくところにおいてあげて頂けると良いのですが...
このようなご相談は、一度飼い主さんにお会いできればと思うケースでもありますが、それもなかなか実現は難しいことですし心配だけが残ります。
昔、<犬は繋いで飼いましょう>なんてとんでもない標語を掲げていた保健所でさえも、今は犬は室内で飼育するように指導しています。
東京都のセンターでは、外飼いする方には基本方針として犬種関係なく譲渡しません。
アフガンハウンドは、想像以上に時間と費用を費やすことになる犬種です。
また、お金持ちだから犬を幸せにしてくれるわけでもありません。
愛情はあっても忙しくてコート管理が出来なくなったら、せめて、一ヶ月に一度はトリミングサロンでシャンプーなどケアをしていただき、半年に一度バリカンを入れてショートコートを清潔に維持してください。
そうすれば、限りある時間を犬も人間も余裕を持って気持ちよく一緒に過ごすことが出来るでしょう。
異常とも思えるペットブームを経て、動物愛護法の不備も指摘される中、子供の数より犬の数が多くなってしまったとささやかれる今、不幸な話が後を絶ちません。
この子達の元飼い主家族は <こんなのもう犬じゃないから処分しろって言っていたんだ> と、発言しています。
どう考えても、手間とお金がかかるアフガンハウンドやスタンダードプードルなどの犬種が、ペットショップやネットの写真だけで売買され、飼育する家の状況確認もせずに安売りされたり、売れ残った子は処分品が如く欲しがる人がいたら簡単に手渡されてしまう恐ろしさ。
アフガンハウンドはどんなに良い血統と言われる犬でも、安売りで簡単に完売するような犬でもありません。
売れ残って、経費が嵩んで、世話が出来なくなって、倒産して、瀕死の犬が放置されて...
アフガンハウンドにまつわるそんな話が、ここ数年だけでも幾つあったことでしょう。
アフガンを外で飼育したらあっという間にぼろモップの完成です。
また、体も心もぼろぼろのアフガン作るのは、実に実に簡単です!
しかしながら、その心と体を立て直すには三倍の時間とたくさんの愛情と優しい手、安心できる場所、そして医療費や良質のフードなどのお金が掛かります。
仔犬を買う方、仔犬を譲る方、そしてこれからかわいい愛犬の仔犬を見たいと考えている方、どうかこの現実をよくよく考えてから行動してください。
譲り受けた命、そしてこの世に生まれさせた命には大きな責任があることを、どうか決して軽く考えないでください。