私たちにより保護された犬たちには、いろいろなケースがあります。
大切にされていたのに、経済的急変で手放さざるをえない状況に陥り、きれいなまま私の元にやってくる子もいます。
突然の環境の変化が理解できず当初戸惑いを見せますが、数日で状況を受け入れ、新しい環境に慣れて明るくなっていきます。
そういう意味では、アフガン屋敷の我が家は良い環境と言えるのでしょう。
それでも、<僕のお家に帰りたいな>といった様子で玄関に居座るときなど、悲惨な状況でやってくる子とはまた違った不憫さに、こちらが悲しくなります。
離婚で置いてきた犬を別れた元伴侶が面倒を見ていないことがわかり、酷い状態で保護したものの自分で飼育できる状況にもなく相談を受けた事もあります。
ケースバイケースで、ブログに載せないで里親を探す判断をする事もあります。
多くの場合、里親登録をされご縁を信じて待っていてくださる方、もしくはこの活動を良く理解された仲間の紹介などでも譲渡されています。
当然、里親さんの条件に沿ってお話し合いを持つことに違いはありません。
里親登録をされていても、ご縁がないときは見送られることも可能です。
たとえば、無駄吠えのある子は都心の集合住宅に向かなかいかもしれませんし、大きくて元気過ぎるような男の子は無理でも、小柄な女の子を安心して任せられるご家族もあります。
きれいな子はもちろん素敵で魅力的だけれど、多くのチャンスがありそうな子より、条件の悪い子の里親になりたいとお申し出になられる方もおられます。
不思議なことに、それぞれ違う個性を持った犬たちに、ぴったりのお宅とのご縁が繋がります。
そのためには、私たちも焦らず急がずの気持ちが大切になります。
<保護犬を貰うって、トイレの躾とかきっと大変なんだろうな>
<やっぱり仔犬からじゃなくちゃ、私はきっと愛せないわ>
<アフガンを飼うのに、途中から保護犬を貰うなんて...>
こんな風に考える方は結構多いみたいですね。
トイレの躾が大変かどうかは、仔犬から飼っても個体差があることは、多くの方が経験されているはずです。
また、私たちが保護した子は、パピーでない限りある程度トイレの躾やお散歩の仕方、人間との関係を家庭でトレーニングして、ある程度の性格がわかった上で譲渡しています。
愛情の深さは、仔犬からでも途中からでも、何の違いもありません。
多く方が、家に迎える前に愛情は芽生え、一緒に暮らし始めたらもうずっと一緒に暮らしていたような錯覚に陥ります^^
先日も、犬は仔犬でないと愛せないと思い込んでいたある犬繋がりの知り合いが、保護犬の一時預かりを経験されたことで、その考えが自分の思い込みでしかなかったことに愕然としていました。
その方は保護対象の犬を放棄した人間への言葉にならない思いと、その子への溢れるほどの愛情に、今も驚きとともに暮らしています。
そして、自分と同じように大切に愛情を持ってそのワンちゃんを受け入れてくださるご家庭にバトンタッチするため、一生懸命お世話をされています。
また、保護犬を迎えられる多くのご家庭が、一般的に裕福と思われるお宅であったり、社会的な地位があるお仕事をお持ちであることも珍しい事ではありません。
こちらが提示する条件をクリアーされている訳ですのでさほど不思議ではありませんが、凄すぎて呆れちゃうほどの立派なお宅からお話を頂き、犬版シンデレラストーリーを体験した事もあります。
ただし、犬を幸せにするのは広いお庭や目を見張る豪邸ではなく、そこに住む人間の優しい心があってこそであることを私たちは忘れていません。
セレブ中のセレブのご婦人からのお話を丁重にお断りしたこともありますが、ありがたいことにこちらの方針や心配点をご理解いただくことが出来ました。
可愛いかわいい 昨年の卒業生です^^
この子もブログにはUPしない方が良いと判断した子です
お休みの日にはたくさんお出かけしてるそうです^^
先住のお姉ちゃんともとっても仲良しになりました^^
優しいお母さんと、素敵なパパに護られて幸せそう!
この子は、仕事に加えてご両親の介護が始まった飼い主の生活の変化により、十分な運動や世話が出来なくなり相談を受けました。
手放すことも考えながら努力をされていましたが、高齢のご両親が大型犬を怖がるため離れた小さな部屋に置くようになり、犬のストレスがマックスになったことで非常に扱い難い子になってしまいました。
人間が大好きで元気な可愛い子でしたが、我が家で引き受けた当初は私がいなくなると手当たり次第に物を壊し、要求吠えをし、食卓に肉が出る日はサークルの中で大騒ぎ!
そんな彼の様子は、普段は一緒に遊ぶ我が家の犬たちも敬遠するほどでした。
普通の人だったら、そのモンスター状態に手を焼いて、とてもとても飼育できないと思われるような状況でした。
私は、先ず彼が溜め込んだストレスを発散出来るように自由に行動させ、愛情をかけてたくさん話しかけマッサージを兼ねたブラシをし、壊されたら困るものは彼から遠ざけ、目が届かないときにはサークルに入ってもらい、この子が落ち着いてくるのを待ちました。
ひと月もすると、爆発しそうだった心が満たされたのか、物腰や表情にも穏やさが増し、お散歩でも引っ張りが減り気持ちよく歩けるようになりました。
それからは、どんどん彼本来の素直で愛らしい子供のような性格が目立つようになり、何人もの里親候補さんからお話を頂きました。
是非この子を家族に迎えたいと一番ご熱心だったご家庭は、広い広いリビングルームにアンティーク家具や調度品がたくさん並ぶとても素敵なお宅でしたので、トライアルはとてもとても心配でした。
そんな私の不安を笑い飛ばすように、トライアル中も元気に良い子にすごし、正式譲渡になってからも大きな問題も起こさずに笑顔で暮らしてくれています。
たぶんきっと、私たちが知らないことが起こっていたかと思いますが、広い心で彼を受け入れ落ち着きのある素敵な子にしてくださったご家族に感謝です。
この子の他にも数頭のアフガンハウンドが、それぞれの事情によりブログに登場することなく、素敵なご縁を得て幸せに暮らしています。
私たちは犬の個性やそこに至った事情も考慮し、多少時間がかかっても、犬の幸せを一番に考えた保護方針を決めています。
里親さんに条件を付けるのは、二度と不幸な結果を迎えないためリスクを抑える手段です。
アフガンハウンドの経験がなくても、中型犬以上の飼育経験があり、先住のワンちゃんが清潔で幸せそうに笑っているご家庭ならば十分に飼育可能と考えて、アフガン特有の難しさをご説明しています。
私たちの活動はまだまだ経験豊富とは言えませんが、その経験の中ではやり直しが遅すぎたと思うケースの犬は一頭もいません。
ある意味アフガンハウンドはデリケートな反面、砂漠で生き抜いてきた生命力を持つ物凄く強い犬なのかもしれません。
二年前の夏、多頭崩壊で保護したたくさんの仔犬を生んだお母さん犬 7~8歳くらい
骨格がしっかりしているのでわかり難いですが、写真で見るよりずっとぼろぼろで、ガリガリで酷い状況でした。
夜になると目が見えない様子でほとんど動かなくなることから、鳥目になっていることがわりました。
脱水からくる眼球の縮小という聞いたこともない症状は回復するのかもわかりませんでしたが、徹底的な栄養補給で半年~1年が過ぎた頃にはどちらもすっかり改善しました。
約一年後、一緒に保護した娘の一頭と一緒の一枚
因みにこのフォーンの女の子は...
この写真左にいる子と同一犬です
最近ではさらに表情が豊かになり、キラキラおメメの素敵なお嬢さんになりました^^
更に右の黒い子も...
アフガンをはじめたくさんの保護犬の経験をお持ちの、素晴らしい環境に暮らされているご家族とのご縁を頂きこんなに素敵になりました!
不潔な環境で栄養失調&脱水症状になりながら、何度も子供を生んで中には保護前に死んでしまった子もいて、それでも父犬と一緒に子供を育て護ってきた肝っ玉母さん
保護したとき、全身フエルト状の鎧を着ている状態でした...
保護から二年が過ぎようとしている今、表情は更に柔らかく穏やかになりました^^
これは今年の春、ドッグランに連れて行った時の写真です。
そろそろ9~10歳になるはずの年齢に加え、過去の様子を知っている人間にとっては驚愕の風景でした。
7年も8年も、一度も普通の暮らしをしたことがない犬でも、愛情と手間と時間によってこんな風に生まれ変われる事の証明です。
保護犬は中古品でも、リサイクル犬でもありません。
リボーン(生まれ変わり)そのものです!